トップページへ戻る    感想一覧へ戻る

銀の蛇 黒の月

プレイ時間 CDレス
プレイ
CG枚数 H回想 ボイス 評価 オススメ
点数
5時間30分程度★ 297枚※ 無し◎ 無し 6.5点 5点

★初回プレイ3時間30分(BADEND3つ回収含む。)
2回目以降、CG回収とENDING制覇に約2時間。

※全てのパーツの枚数(背景も含む)。

◎H回想の代わりに、全てのシーンからゲーム開始可能な、フローチャートモード装備。

★事前に期待していたもの
独自の方向性と「ノベルシアター」という演出が個人的に好きなので。
1作目からのメーカー買い。

システム  相変わらず、独自路線ですね。
 キーボード操作がメインになってしまっている面を改善して貰いたかったのですが。
 やはり使い勝手はいまいちです。

 フルスクリーン・ウィンドウモード切替 を Alt+Enterキー
 既読スキップ を Homeキー
 オートモード を Endキー
 テキスト表示・非表示 を Spaceキー

 これらの操作はキーボードのみ装備。
 マウス操作からは行えないのが不便。

 Endキーによるオートモードもいまいち使い勝手悪いです。オートモードにしては速過ぎ
るし、スキップモードにしては遅過ぎる。
 Homeによる既読スキップも、読んだシーンは丸ごとスキップされその間の画面等は全く表
示されません。その割には時間が掛かります。

 テキストスピードは、固定。マウス左クリックの連打で速める事ができますけど。
 バックログ参照はホイールマウス対応。

 右クリックでコンフィグ画面呼び出しが可能。
 セーブ・ロード(15スロット)
 BGM・効果音・アンチエイリアス・演出 
 フローチャート表示
 タイトルへ戻る

 の操作ができます。
 しかし、BGM・効果音の調整は有り、無しの2択のみ。
 特に効果音のデフォルトボリュームが大き過ぎ、五月蝿いので、個別調整が欲しかった。

 ユニークなのは物語のフローチャートが表示され、一度通った場面なら何処からでもプレイ
が再開できる、というシステムです。
 直前のプレイのフラグが反映されるので、ひとつの場面から分岐する場面を再現するには
一度は通らないと駄目なのですけれどね。

 全体的に使い難さが改善されないのは残念でした。
 「忘れな草」の頃と比べれば、随分進歩はしているのですけれど、もう一歩ですな。 
音楽・CV  音楽ですが、OP画面のBGMは前作「ほとせなる呪ちとせなる詛」と同じように聞こえます。
 これで少し興醒めですね。
 OPソングもアニメーションも無いなら、余計にこういう出だしの部分での配慮は必要だと
思うのですが。

 BGMはストリングスやホーンを利用した重厚な音楽が多いです。
 作品世界のヘヴィな雰囲気と合致していると思います。
 後、ボーカルサンプリングの活用が目立ちます。環境音楽的な女性コーラス曲に、ワール
ド・ミュージックっぽいフェスティバル・ソングがそれぞれ1曲ずつ。

 が、音楽よりも効果音のボリュームが大きく、そちらが悪い意味で印象付けられてしまい、
音楽にはあまり注意が向きませんでした。
 システムの操作にもかなりでかい音量が鳴るので、1週目以降は、効果音はカットしてプレ
イする羽目になりました。
 音楽としてはTPOに合っているけれど、「ほとせなる呪〜」の恐怖感を煽るような音楽的相
乗効果は見られなかったですねえ。

 前作ではフルボイスになりましたが、(主人公にもCV有り)今回は再びボイスレスに戻って
しまいました。
 個人的には無しで問題ないと思います。寧ろ、配役を想像して楽しむ余地ができたとポジ
ティヴに考えましょう。(苦しいかな)
 ヒロインの「マリィ」が訳あって喋れないという設定では、周りのキャラクターにCVを入れた
方が演出としては良好だとは思いますけどね。
 前作ではお世辞にも演技が上手いとは思えないCV担当の方が多かった“前科”もありま
すので・・・・・。
CG・立ち絵  メーカーさん曰くの「ノベルシアターPLUS」は、今回もしっかりと活用されています。
 基本は背景も無い黒画面。
 ここにカット・イン、フラッシュ、ワイプ・イン、スキャッター...etc と文字やCGが飛び回って
物語を進めます。

 ですので、立ち絵や背景の基本パーツは在って無きが如しになります。
 目元や口元のアップ、登場人物の目線に合わせた視界を表現する為、顔が見えずに、身
体だけ見せるCG。
 一時期は過剰演出な部分(特に文字の動かし方)がありましたが、今回はある程度控え目
にしつつ、絶妙な「動くノベル」を表現できていると思います。

 絵としては、かなり濃いですね。
 不細工な男やオヤジキャラの下品さや悪役っぷりは満遍なく書かれています。
 絵のタッチもシーンや雰囲気で随分違いますが、これは故意に書き分けていますね。
 コミカルなシーンでは、ややシンプルで覚束ないタッチで。
 シリアスなシーンではよりリアルに。
 エロスを感じさせるシーンでは艶っぽく
 不気味なシーンでは陰をタップリ付けたオドロオドロシイ絵柄で、という具合に。
 
 陰影の付け方や、ボカシの具合で場面の空気を見せる事が出来ていますね。こういう手法
は貴重だと思います。

 その中で、メインヒロインの「マリィ」は、かなり可愛らしく書かれていて、オドロオドロしい
化け物キャラや男キャラとのアンバランスさが、余計に可憐さを引き立てていますね。

 絵としては、絵柄も含め、これまでで最も良かった。
エロ  少ないです。挿入ありのHは厳密には3シーンかな。
 純愛Hは1シーンのみ。ちゃんとメインヒロインの「マリィ」に与えているのはGood。
 後は、性交後に惨殺されるカップルのセックスシーンとか、触手に犯されるシーンとか、
娼婦と脇役の挿入未満で終わるHとか、マインドコントロールされ、フィニッシュ後自殺したり。
 どれもエロさで考えると、大したシーンはありません。
 陵辱系のHもあるにはありますが、ハードさは皆無。

 メーカーさんの説明では 「エロ、グロ、バイオレンス」と3本柱が売りのようですが、エロに
関しては大したグロはありません。(男根を引き千切るシーン有りますが、グロくない。)
 エロに関してはバイオレンスなエロもグロいエロも無いです。

 エロに関しては、物語の設定を使い切っているとは言えません。寧ろ、もっと色々凄いシー
ンが出来たと思います、この設定なら。 
シナリオ  中世っぽい世界。秩序は崩壊し、治安はなきに等しい暴力の支配する世。
 乱世により、殺し屋として生きるしかなかった、トラウマを背負った剣士「カイ」。
 「吸血伯爵」と呼ばれる地方領主の父親から逃亡を図った、言葉をなくした少女「マリィ」。
 この出会いが2人を事件へと巻き込んでいく。

 要するに、孤高で精神的外傷で、フォートレス・アラウンド・ザ・ハート状態な凄腕のヒットマ
ン剣士(「銀の蛇」の異名を持つ)が、少女を守る為に戦う、ファイティングファンタジーです。
 で、当然追われる少女にも秘密があって、と、ファンタジー小説では結構ありきたりのお話
が基本になってます。

 展開は極めてオーソドックス。「銀の蛇」は強力で、雑魚キャラをバシバシと叩き斬り、スプ
ラッタ地獄を量産。
 この強さは痛快ですな。
 それから、第三者的な視点で物語が進む、文字通りノベル形式です。
 主人公視点が多く、ザッピングで視点を変化させるゲームもそれなりにありますが、第三者
視点でこれだけちゃんと読めるテキストは少ないのではないかと。
 やや文体が硬い割には、表現を小難しくして語彙に酔っていないテキストは好ましい。

 エロ以外のバイオレンスと流血量は、それなりにハードですね。まだ甘いけど。

 追われる惨めな少女の現状に、忘れようとしていた自らの悲惨な少年時代を投影し、苦し
み、少女「マリィ」に当たる事もありますが、結局殺人マシーンでも実は「いい人」というお約
束を踏襲し、少女を庇って戦います。
 その内に、お互いを求めて・・・・

 と王道的なファンタジー路線を踏襲。
 が、バイオレンスとグロさは、エロ以外では結構表現されてます。
 怜悧で妖艶な女キャラとの戦闘とか、優男のライバルキャラとの殺し合いとか、かなりテンポ
良いアクションシーンが展開します。

 しかし、ちゃんと息抜きシーンもあり、面倒見の良い娼婦と「マリィ」の交流や、オカマな仲介
屋も登場し、暗くて重いだけのスプラッタアクションにはしてません。

 問題は話の長さですね。ちょっとアッサリと終わり過ぎです。
 駆け足な展開になってしまい、キャラが動き切らないうちに、魅力を出し切る前にエンディング
へと到達してしまいます。
 後、この手の話に付き物の伏線が殆ど無かったですね。
 一番の不満はシナリオの質よりも長さです。斬新さはあまりありませんが、他にあまり例が
ないファンタジー形の18禁ゲームだと思いますので、物語の浅さが残念。
総評  これでにありそうでなかったタイプの剣と暴力と血が飛び交うエロゲーですね。
 少年漫画よりも成人漫画でアクション巨編をファンタジーで行うと、こんな物語が出来そうな
感じがします。
 着眼点としては面白いですね。

 但し、前述しましたが、物語に厚みが足りません。
 冗長にして、敵役が強さのインフレーションを起こし続けていくような格闘漫画もかくや、とい
うストーリー化するのはどうかとは思いますが、設定としては面白いし、善良なお子様向けの
RPGやADVでは表現が不可能な設定が色々と使える足場−18禁指定−があるので、これを
もっと活用しなかったのは勿体無いです。

 ストーリーの短さがネックになり、主人公の「カイ」が育ての親で剣技を仕込んだ「仮面の狂
剣士」が、どのような虐待を行い、如何にして「カイ」に屠られるに至ったかについても、殆ど
書かれていません。
 ここは心に壁を作ってしまった「カイ」の原因となる部分ですし、彼の性格を形成している箇
所でもあるので、もっと掘り下げて貰いたかったです。
 同様に、対になる存在であるヒロイン「マリィ」についても、動かし方が足りません。
 これだけ出番が少ない割には、かなり魅力的な部分(ロリキャラはそれに関係ないですが)
が見られます。言葉を失っているという設定で、セリフ自体が皆無なのに存在感があるのだ
から、もっと伏線を貼るなりして話の盛り上げ役に持ち上げて欲しかった。

 又、数少ない健全っぽい(苦笑)女性キャラの「カティ」の扱いもぞんざいですね。
 彼女の過去に経験した悲劇も、上っ面しか語られてません。
 同様に、主人公と対極の性格を与えられている、殺し屋の「ハイドラ」も、2回の対戦で退場
するには惜しい。
 登場回数が少ないですが、肝っ玉の据わった高級娼婦の「白仙姫」や、その妹の陽気な姐さ
ん娼婦「メグ」、オカマで主人公の相方な「ブロンコ」。
 以上のように魅力的な脇役が活躍する余地が少な過ぎなのが惜しい。

 と、批判すべき点、足りない点はありますが、全体的にハードボイルドな主人公が活躍する
剣戟ファンタジーという世界は好きですし、ちゃんと話としては纏めも出来ていますので、及第点
以上だとは思います。
 個人的にはライト系のファンタジーよりも、こういったハードコアなバイオレンスは歓迎ですね。
オススメ度  PCの画面から滲み出る恐怖とリアリティ、といった臨場感では前作「ほとせなる呪ちとせなる
詛」に一歩譲りますか。
 しかし、全体の纏まりと完成度ではこれまでで一番良くなっていると思います。
 毎回の事ですが、売れ線を狙った十羽一絡げのキャラゲーや萌えゲーの焼き直しをしない、独
創性は評価したいですね。
 非常に惜しい作品です。もっと大河作品になるポテンシャルがあるのに、小さく収束してしまっ
てます。
 ノベルシアターの、シアター面に力を入れ過ぎて、シナリオが短くならざるを得なかったのかな
と邪推してしまうくらい惜しい。
 独創性とビジュアル面の点数に、個人的な嗜好をプラスして6.5点ですね。

 が、一般的に見ればかなりプレイヤーを選ぶゲームであることも確か。
 萌えもエロにも特化していない為、広範な嗜好にアピールする要素が少ないです。
 前作よりも現実の映画的な物語になり、とっつき易くはなっているものの、5点くらいですね、
オススメするとなると。

 これからも是非、量産型の流行ゲームに転ぶ事無く頑張って欲しいと思います。 
 が、公式BBSでシナリオライターさんが退社というニュースがご本人の書き込みで公表。
 う〜む、これまでのスタッフが抜けて行くというのはどうにも歓迎すべきニュースではないと思
うのですが、大丈夫かな。不安だ・・・・。
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送