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マクスウェルの悪魔

プレイ時間 CDレス
プレイ
インストール
容量
CG枚数 回想 ボイス 評価
8時間強★ 約450MB 58枚※ 無し 無し 6.5点


★初回プレイ3時間程度
2回目以降、1キャラ50分〜1時間30分程度

※差分含まず
CG28枠+背景CG30枠

★事前に期待していたもの
話題の同人ゲーム購を2本ほどハントしに行った際、タイトルが目に付いた事。
1000円という良心的価格設定のため、特別外しても問題無いと思いました。

システム  フリーソフトの吉里吉里2を使われています。
 同人ソフトでは比較的良く使用されますね。操作基本は画面上端のツールバーからに
なりますが、特に使い勝手が悪いと感じる事はありませんでした。
 右クリックでもツールバー設定と全く同じコンフィグ画面に入る事が出来、使い易いシ
ステムになっています。

 テキスト読み進め・バックログ参照 共にホイールマウス対応が良いです。
 オートプレイ有り。(速度調節5段階)
 BGM音量調節(5段階)
 フルスクリーン・ウィンドウ表示対応
 テキスト表示速度調整(4段階)
 セーブ・ロードスロットは15個。最初は足りないかな?と思いましたが、過不足無しで
した。

 問題なのは、既読・未読の判定が甘々なところです。既読スキップを開始する場所に
よっては、未読まで平気で読み飛ばします。また、特定のポイントで必ず止まったり。
 既読スキップのスピードは速いので、これは勿体無いです。
 加えてセーブ&ロードもセーブポイントから再開できず、少し前のシーンからスタート
になる場合が多いです。故に既読スキップでセーブした場面までジャンプしようとすると
豪快に次のシーンまでカットビしてくれたりして、ここは大きな減点。
 また、ムービーにFlash Player必須です。OPのCGは中々ユニークですし、EDは見ない
と話の深みが薄れますので、インストールしましょう。
音楽・CV  CVはありません。販売価格1000円ですから仕方ないですね。(苦笑)
 無くても問題ないんですが、CV付けて欲しいと思わせる吸引力がキャラクターにあり
ますので、ちと残念です。
 特に脇役の自称『妄想冒険家』「小池」には是非あのテンションで喋って貰いたい。
 って、メインキャラクターでも何でもないんですが。(w

 音楽については、打ち込みメインでそこそこ良い曲が揃っていると思います。
 ヴォーカル曲は、歌詞が示唆的というか、世界設定に関わる内容なのは面白いです
が、歌っている方は失礼ですが、非常に素人っぽいですね。そこもまた同人作品らしく
て良いと言えば良いのですけど。
 しかし、日常で良く流れる「銷夏」だけは、あまりにも他の曲と曲調もさることながら、
アレンジがかけ離れていて五月蝿く−違和感がバリバリでした。
 シンセ使うよりもシンセギターメインのアレンジにすれば浮く事はなかったかなと勝
手に思ったりします。
 しかし、音楽に関しては作品とマッチしていて概ね良好です。
CG・立ち絵  製品版(CDケース)の後ろには、「背景、イベントCG150枚以上」とありますが、差分
含まずになると、上記のように56枚になります。(苦笑)
 当初、この価格でこのヴォリュームは凄いと思って、購入動機のひとつになったのです
が、完全に勘違いでした。(汗)
 イベントCGはお世辞にも多いとは言えません。ここでCGが欲しいなあ、というシーンに
CGが出ないのはちょっと残念だったりします。
 塗りは綺麗なレベルです。構図は、商業作品のレベルと比較すると流石にギャップは
ありますが、悪い出来だとは思いません。販売価格からみれば、十分なレベルにあるで
しょう。

 キャラクターの立ち絵パターンは、明らかにキャラクターにより充実・不足の差が激しい
ですね。
 パッケージのイラストになっている2キャラと、ざっかけない言い方ですが、脱ぐキャラク
ターは服装・立ち絵のパターンも結構あるのですが、その他のキャラクターはちょっと寂
しいレベルです。
 全体的に言える事ですが、表情にもっとアクセントとヴァリエーションが欲しかった。
 キャラ立てが上手に出来ているだけに、そのギャップは残念です。 
エロ  オマケトークで「8人も女性キャラが出演するのに脱ぐのは半分だけ」的なセルフツッ
コミを入れてますが、確かにエロは濃厚とは言い難いです。薄いと言い切って差し支え
ないかと。
 18禁対象キャラクターのエロCGは1名当たり2〜3枚。(差分含まず)
 シーンも自体やや短めです。
 しかし、丁寧な描写がされており、主人公がエロオヤヂ化する事もなく、しっかりと描
かれているので、18禁シーンそのものは良い出来ではないでしょうか。
 特に特殊シチュエーションは無しで、せいぜいフェラやパイズリがある程度です。至っ
て大人し目の18禁要素ですな。
 実妹と本番出来る、という同人ならでわ(最近は解禁されたらしい?良く分かりませ
んです)のシチュがありますが、スマタで終わってしまって良いモノか、ってところはあり
ましたが…。

 エンディングがあるのに、攻略対象になっていないキャラクターが多い、という点につ
いて、エロ重視(というか無くてもオッケー)派でない私は問題無いと思いますが、キャラ
クターの魅力で引っ張るタイプのゲームに分類されると思うので、ここで血涙を流す人
も出るかもしれません。
シナリオ  外観は、平凡な学園モノです。
 料理の得意な幼馴染がいて、妹がいて、ユニークな仲間が存在し、学園生活を送っ
ていく主人公「三浦 哲司」の日常、という流れです。
 しかし、「マクスウェルの悪魔」というタイトルから、ある程度想像出来るかとは思い
ますが、実は平凡な日常と思っていた世界は…的な乗りになっていきます。
 前半はハイテンションでギャグ満載な学園日常絵巻。
 後半はシリアスな世界の謎的なモノが明かされて行く、というまあシナリオ重視な作
品にはありきたりな組み立てかと思います。

 評価すべき点は、主人公を始めとしたハイテンション且つ滑りまくるギャグ。
 これは人を選ぶ過剰なテンションが篭められていて、キャラクター同士の掛け合いも
下手をすると置いてけぼりになってしまいかねません。
 また、ネタがマニアック過ぎて、オマケで解説されていますが、私にはそれでも理解
出来ないネタが多かったです。それでも笑えたので、キャラクターは立っていると思い
ます。特に脇役の「メガネマン小池」は最高です。
 こういうテンションオーバーフローなキャラは、プレイヤーの感性に合わないと徹底的
に鬱陶しくなりますけどね。
 ヒロインの天然ボケっぷり、特に「月杜 柚茉」のボケっぷりとか勘違いは笑えます。
 メインの「上條 那由佳」の天然も悪くないですが、ちょっとステロタイプな天然幼馴染
という気もします。

 「上條 那由佳」と「月杜 柚茉」のシナリオは最も力が入ってます。準じる形で実妹な
「三浦 亜耶」のシナリオも最終エクストラシナリオで補完されいますから、それなり。
 しかし、残りのキャラクターは、あまりにもシナリオの説明とヴォリュームが足りません。
 オマケによると前のヴァージョンではエンディングも無かったらしいですけど。
 このキャラクターによるシナリオの温度差というか、格差は勿体無いですね。それぞれ
ステロタイプな外見でありつつも、強烈に個性を出せているのに、キャラクターの魅力が
十全に発揮される前にエンドに行ってしまう。

 また、温度差という意味では、後半かなり鬱展開になってしまうので、前半とのギャ
ップに戸惑いがちになる危険性もあります。もう少し丁寧且つじっくりと後半シナリオに
移行出来ていたら、このあたりは上手く纏まった気がします。
 楽しい日常からその終焉への流れが急ぎ過ぎたきらいがあります。

 全般、キャラクター立ては良いのですが、肝心なシナリオがちょっと説明不足です。
 結構伏線を貼ったり、示唆的なキャラクター設定や鍵となるキャラクターを出演させて
いるのですが、全くその辺りが消化されずにゲームが完結してしまっています。
 また、前半のお笑い日常劇場という展開から、後半に突入する流れが短過ぎ、やや
唐突な感は拭えません。
 シナリオ重視、というよりも世界観重視のゲームを意図されていると想像しています
けど、そちらの要素が堅牢に構築されていないので、キャラクタゲームな流れに傾いて
しまっている感じですね。
総評  正直タイトルである「マクスウェルの悪魔」の意味やオマケで出現する某概念論の
タイトルもその意義が明確ではない気がします。つまり、製作サイドが意図した内容を
語り切れていないと思ってます。(語れないとは思いません。力量のある作り手さん達
だと思いますから。)
 示唆的な伏線をしっかり補強しておけば、もっとシナリオを読み解く楽しみが増えた
のではないかと、無念に思います。

 また、話を進めてエンディングを迎える度に世界の謎が剥離して見えてくるという組み
方をされたゲームですが、キャラクターの攻略順に規制がありませんので、シナリオ不
整合にはなりませんが、このあたりは攻略順に縛りを付けてもっと情報を上手く小出し
にした方が良かったのではないかと。
 私は

 「楠瀬 珠姫」→「茅原 椎奈」→双子→妹→「月杜 柚茉」→「上條 那由佳」

 の順に攻略してみましたが、正直誰から攻略しても1キャラ攻略で世界の謎というか
設定は容易に想像付いてしまうと思います。実際予想のまんまでしたし。
 「柚茉」シナリオだけは上手く謎を隠蔽している感じもしますし、鬱要素多いですが、
予想の斜め上を行く衝撃がありました。
 反対に、メインの幼馴染ツインテールは、展開が最初の攻略で読めてしまったので、
一応一番最後に攻略しましたが、ああ、ヤッパリコウナッタナー、としか思えなかった
ので、感動も無かったです。妹も容易に役割が見えてしまい、エンドの感想以下同文。
 逆にこの辺りの謎が予想出来ずにプレイしたら最後まで緊張感持続するかもしれま
せんけど…。

 斬新ではないけど、ユニークなプロットを使って物語りを組み立てていますが、今二歩
程作り込みが足りなかった感じです。惜しい。
オススメ度  正直、あまり期待していませんでした。4月の新作2本買うついでに安いので手にとっ
てみただけでしたから。
 CDケースのみのシンプルなパッケージングですが、オビにプレイしたユーザー諸氏の
コメントが10点書かれています。
 スタッフさんの「過大広告だったらすみません JAROに通報しないで下さい」というコ
メントが一番下にコッソリと掲載されているのには笑いました。

 と、それは置いておき、ちょっとヨイショなコメントが多いんではないか?と思いつつ
プレイしたら、かなり高いレベルで仕上がっていて驚きました。WoSさん、御免なさい。
 1000円でここまで楽しめるとは、予想の左斜め上を行ってくれましたねー。
 もう少しシナリオと各キャラクターの描写が深くしっかりしていれば7〜8点献上したい
んですが。キャラクターは誰も良いインパクトを与える動きしてますので。

 足りない点は、それはもう多いとは思いますが、1000円でこれだけのレベルなら、つ
い先日プレイして叩き売った同人上がり集団の糞ゲーとは比較にならない程コスト・パ
フォーマンスは良いです。
 豪華マニュアルもパッケージも必要ありません。内容で勝負という姿勢が実に好感を
持てるサークルさんです。(そもそもマニュアルはインナー裏の注意書きだけですしね。)
 値段相応には確実に楽しめると思いますよ。同人作品にある程度慣れている事が前
提かもしれませんけど。(とはいえ繰り返しになりますが、シナリオやテキストがこのゲー
ムに及ばない商業作品はたくさんありますから。)
 是非、消化不良な部分やヴォリューム不足を補ったヴァージョンを発売して貰いたい
ところですね。仮のお話ですが、発売して頂けるなら私は買います。  
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