トップページへ戻る    感想一覧へ戻る   半端マニアソフトHP

空の上のおもちゃ

プレイ時間 CDレス
プレイ
インストール
容量
CG枚数 回想 ボイス 評価
8時間30分★ 700MB 69枚※ 6枠 女性フル 8点


★初回エンディングまで5時間30分程度。
その後最終EDまで3時間弱。
※差分無し

★事前に期待していたもの
前作「冬は幻の鏡」がかなり独特の方向性で面白かったので。
新作は委託販売価格が500円上がっていますが、それに見合う内容となっているか?

システム  前作「冬は幻の鏡」のノベルスタイルから、ADV風のメッセージウィンドウ有りのスタ
イルに変わっています。個人的にはこちらの方が見やすくて良い。
 ノベルスタイルの基本はツールバーという操作から、メッセージウィンドウ上の文字シ
ンボルをクリックする事で操作になりました。

 基本的に軽く、必要と思われる操作機能は全て揃っています。
 未だにとんでもない地雷操作系でゲームを出す商業作品もありますが、是非このメー
カーさんを見習って欲しいものです。

 問題は各操作でクリックするシンボルが実に小さい事。
 メッセージ蘭とメッセージウィンドウ枠の間にギッシリと並んでいるので、ちょっと小さな
画面でプレイした場合辛いかもしれません。

 セーブ・ロードは100スロット。
 メッセージスキップ・メッセージ送り・読み戻しはホイールマウス対応。
 バックログの音声再生可能。
 キャラクター別音声On/Off設定可能。(メイン女性キャラ3名と脇役女性の合計4)
 オートモードの速度調整可能。
 メッセージ速度調節可能。(アナログバー)
 BGM・音声・効果音の音量調節(アナログバー)
 フルスクリーン・ウィンドウモード切替可能。
 テキストフォント変更可能。(8種類)
 ダブルクリックで音声部分のカット有り無しの選択可能。

 前作もそうでしたが、ソフト本体には簡易マニュアルのペラ紙しか付属しておらず、ゲ
ーム開始時にチュートリアルで各操作の説明があります。
 今回はボイスが付いた事もあってか、ナレーションにもCVが付いており、妹モードと
姉モードで説明の口調が変わるというサービスがあります。ちょっと笑えますが、操作
方法までに声付けなくても良いのでは…。かなりこの部分が長く感じました。
 不満はそのくらいかな。 
音楽・CV  ボイス無しだった前作から一転、女性キャラ全てにボイスが付きました。
 メイン女性キャラクター3名のCVは、商業作品で聞いた事のある方ばかりで、同人ソフ
トですが、キャストはプロを採用しています。
 特に、一応メインっぽい「城谷 春野」のCVの方の演技の使い分けは流石です。
 イメージ的にも特にキャラクターと食い違っている訳でもなく、非常に良いですね。

 只ひとつ、残念なのはかなり濃い「夕島 雪雄」にCVが無かった事。キャスティングが
難しそうな逝ってる男性キャラクターですが、声がハマれば面白かったと思います。

 音楽は、前作も良かったですが、何気にレベル高目です。
 基本はオールサンプリングだと思います。生演奏は殆ど無いように聞こえますね。
 特にどの音楽が秀逸かというと、ちょっとピックアップに困りますが、聞き流すだけの
平々凡々なレベルではなく、キッチリとシーンに合っている音楽になっています。
 特にスロー系の曲は手堅く綺麗に纏まっていると思います。
 ボーカル曲は全部で3曲。OP曲と、ファーストエンドの曲と、グランドフィナーレの後に
流れる曲。
 邦楽のボーカル曲には常々書いていますが、興味は殆どありません。稀に凄い高い
レベルのゲームに出会った時は素直に感動しますが。
 ボーカル曲に関しては、おなざり評価で恐縮ですが、結構イイ線ではないかと思いま
す。何処が良いのかという点に関してはあまり書けないんですが。

 但し、OP画面に流れる曲は「冬幻」のキーボードバラードの方が上かなと。
CG・立ち絵  原画の方が「冬幻」から変更になっており、よりキャッチーになったかなと思います。
前作は良くも悪くもクセがありましたし、如何にも同人風というイメージが抜け切れない
絵柄でしたので。
 パッケージ絵も随分と希求力が増した感じです。

 但し、ゲーム内での絵は、やはり同人作品かなというレベルにあります。
 これは意図的かなと思っていますが、塗りがかなり覚束ない感じ。故意と思ったのは
敢えて雑というか暈した感じで柔らかさを狙ったのかな、と思える絵柄だからです。
 個人的には、ステロタイプな商業作品の綺麗過ぎる立ち絵よりも味があって宜しいと
思ってますが、流石に総合的なレベルでは二歩三歩後塵を拝してるというところ。

 立ち絵のパターンはそれ程多く無いのですが、上手に使っている事と、表情の変化が
良い感じに(悪く言えば崩れているのかな?)アクセントが付いているので、特に気に
はなりませんでした。
 特に「城谷 春野」は流石にメイン扱いだけあって、表情は豊富です。
 主人公に立ち絵があるのもプラス。ちょっと頼りない美少年(?)風ですね。顔の無い
主人公のCGは個人的に大嫌いなのでこの点はポイント高し、極個人的に。

 立ち絵よりも一枚絵CGの方がプレイ中かなり気になりました。シーンによってかなり
立ち絵と表情が違っているし、他のCGとも顔が違って別人のように見えるCGが結構
あります。
 塗りも良く言えばソフト、悪く言えば雑で、これは好みが相当分かれそう。しかも分割
される大半はネガティブな感想を持つかな、と失礼ながら想像しています。私は独特で
好きなんですけど。
 枚数は差分無しで69枚。大半がHCGですが、そちらのCGよりも一般CGの方がお気
に入りです。枚数としては販売価格以上の数で、しかも大抵欲しいシーンには挿入され
るので、少ないと感じることはなかったです。

 背景はかなり綺麗に書かれていますが、キャラクターが粗い塗りなのに、背景は綺麗
過ぎる感じがあり、ちょっと違和感があります。
エロ  主人公(澤田 克之)×「城谷 春野」 2回。(1回は互いの自慰行為見せ合い)
 「夕島 雪雄」×「真柄 夏見」 1回。
 「上野 志津恵」 3回。

 主人公と絡まない「志津恵」のHシーンが3回です。
 正直、ちょっと痛かった。彼女のHには全て虐待的な要素があります。
 特に幼女虐待的なシーンは私には痛かったです。鬼畜や陵辱スキーの方には全く
痛くないレベルであるでしょうし、シナリオ上必要だと思われますので、否定的ではあ
りません。
 但し、上2キャラクターのHシーンが結構濃厚和姦系エロなのに、「志津恵」のみかな
りエゲツないHなので、正直最初の「志津恵」シーンではギャップに戸惑いました。

 どのキャラクターも(「志津恵」の一部除く)胸控え目ですから、そちら好きの方には
良いかもしれませんが…。
 ストーリー的なネタバレになりますので多くは語りませんが、Hはかなり濃い方です
が、「志津恵」と他の2キャラクターとはかなり雰囲気が違います。
 私には幼女属性無いし、年齢を気にせず性的虐待的な表現を使える同人ソフトの強
みを活かしている点は評価しますが、ちょっと合いませんでした、後半のH展開は。
シナリオ  一般社会から隔絶された山奥にある仏教系の高校。(学園生とかオトナの事情でし
無くて良いのはマルですね。)時は夏休み。疥癬という皮膚病に感染した主人公と
天文部の先輩「雪雄」は夏休み帰省が始まっているのに寮に隔離されていた。
 そんなある夜、主人公「克之」は月明かりの下の校庭で、尻から悪魔のような尻尾を
生やした少女が踊るのを目撃した…。
 夢か幻か、と定かなるまま眠りに付いた翌朝、「克之」は自分の尻にも同じ尻尾が
生えてしまっているのに気が付く。

 要するに、或る日突然尻尾が生えちゃった
 という非日常的ファンタジー設定から物語は始まります。

 かなりナンセンスな前提で、尻尾についてもなかなか説明されませんが、特に焦れ
ったい感じはしませんでした。
 奇矯で濃い言動を叫びまくる「雪雄」。
 直ぐキレてリアルファイトに突入する主人公と先輩「雪雄」。
 商業ではピー音が入ってしまうシモネタをトークビサイドにしている陸上部のボーイ
ッシュ少女「真柄 夏見」のスッパリした性格。
 シモネタから奇怪でズレまくった発言までと幅広い電波を放出するロリ系美少女の
「城谷 春野」。
 オヤジ的寮監で直ぐに「小便混ぜるぞ」と恫喝し、クチより先に手が出る寮監の「上野
志津恵」。
 これらのキャクターのドタバタ遣り取りが結構面白く、表向きメインヒロインの「春野」
なんぞ、登場して数クリックでオナニー始めるという濃ゆ濃ゆワールド。

 シナリオは章立てになっており、ひとつのチャプター毎に名前が付いており、番外章
も含めて16章あります。
 この章というギミックを利用し、外伝と本編を幾つかに分割する手法を取り、最初の
EDと真ED的な物語を分割して見せるというような同人ならでわの演出が光ります。
 また初回EDのテロップに萩原朔太郎の『月に吠える』を挿入しています。ちょっと
驚きました。

 全く関係無いのですが、何故Bog Segerの名曲「Shame on The Moon」の日本語
タイトルが『月に吠える』なのか未だに解りません…。閑話休題…。

 最初は、ドタバタを繰り返しながら尻尾の謎を付き詰めて行く謎明かし的な展開かな
と思いましたが、突然方向が変わります。
 あまりネタバレしたくないので、端的に纏めると、平行世界とか世界創造とか、中国
古典「邯鄲の夢」的な世界の在り方を問うシナリオに突入します。

 このシナリオの方向性の切り替えと同時にメッセージウィンドウや画面のユーザーイ
ンターフェイスのデザインまで変わってしまいます。

 この前半日常シナリオと後半シナリオ(大半のキャラクターがしばらく登場しません)
の格差を受け入れられるかどうかでこのゲームの評価が決まると思います。
 プレイ時間8〜9時間という枠内では唐突に過ぎるでもなく(唐突ではありますが)、そ
れなりに纏まっているので、個人的には十分に許容範囲でした。

 但し、前半の流れの方が面白く読めたのは間違いなく、ちょっとギャップが大きいな
とは思いますが。
総評  登場人物はどれもユニークです。現在主流となっているっぽい萌えゲーに出てくる
ステロタイプなキャラは皆無です。
 自分の趣味のためなら年下の美少女を蹴飛ばし、蹴散らし全てを全うする野人的
な「雪雄」。アクが強いのに好感が持てるのは、通常18禁ゲームに出てくる男脇役の
定番とはかけ離れたしっかりしたポリシーがあるからでしょう。

 主人公を「フニャチン野郎」と平気で呼ぶ「春野」。かなり電波的なヒロインですが、
これまた定番的なヒロインには無い面白さがあります。Hをして照れると思うと、主人公
にシモネタを話したりと、かなりイってますが、別の意味で可愛い。
 とある転換をすると性格以上のものが入れ替わり、そのギャップは良い感じ。

 シモネタオトコ系キャラと思いきや、実はかなり可愛らしい「夏見」。彼女の存在を評
価すべき点は、所謂「主人公モテモテ」的なゲームにせず、脇役の暑苦しい系な「雪
雄」とくっ付く点ですね。寝取られではない2カップルでの物語進行はユニークです。

 実は本当のヒロインであるとしか思えない「志津恵」。裏ヒロインではなくて、真面目
にこの「空の上のおもちゃ」のヒロインでしょう。

 人里離れた隔離学校が共学という設定もマル。通常は男だけのむさ苦しい場所に…
となりそうなのがスタンダードですから。

 前半の学園夏休み生活パートと後半の個人的に「世界的風呂敷広げシナリオ」との
ギャップをもう少し丁寧に埋めてくれれば、もっと面白く読めたと思います。
 かなり語れていない謎や設定があり、ボリューム不足かなと思う展開が結構ありまし
た。特に後半は急ぎ過ぎな傾向があります。
 後半への伏線とか、ユーザーへ丸投げされているとしか思えない要素を、全て噛んで
含んで説明してくれなくても良いですが、もう少し何とか組み合わせてくれれば、もっと
後半の展開が素直に入ってくると思います。

 後、エピローグがちょっとアレですね。悪くは無いんですが、取り敢えず食欲を失くす
ような展開にしなくても良かったんではないかと。(苦笑)

 但し、一番評価できたと言うか、きっちりハッピー・エンドでエピローグを纏めてくれ、
ヘタに鬱系のゲームとしなかった点は拍手したいです。
 前述しましたが、後半のHシーンは救いようが無く、クリックですっ飛ばしましたから、
不幸が不幸で終わらなく、それなりに爽やかな余韻でゲームを締めれましたから。
 でも、もう少しエピローグで各キャラクターを書いてくれても良かったなあ。食欲減退
のシーンは抜いてもね…。
オススメ度  相変わらずステロタイプな萌えゲーの多い商業作品全般とは一線を引いたユニーク
なストーリーを読ませてくれます。
 ちょっとご都合主義な点というか、説明不足又はユーザーに投げかける謎が多い気
がしますが、物語としては非常に面白いですね。
 システム・CVは完全に商業レベルですから、ちょっと変わった物語を楽しみたい・あり
きたりの展開に飽きたユーザーにはオススメです。価格も2.5Kとお手頃。
 点数的は7〜7.5点というところなのですが、最近食傷気味の萌えエロとは全く違っ
た話を読ませてもらったので1点プラスの大盤振る舞い8点です。
 現在プレイしている「は○ねす!」がステロタイプの権化のようなゲームだったので、
その反動で点数が高いです。(苦笑)1点割り引いても良いんですが、今後の期待も
含めてボーナス加算。是非独自路線で行って貰いたいです。
 一枚絵CGがもう少し統一されており、もう少しストーリーが丁寧に展開していたらオ
ススメ度はもっと上がりそうです。
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送