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PARADISE LOST

プレイ時間 CDレス
プレイ
CG枚数 H回想 ボイス 評価
22時間程度★ 82枚※ 11枠 メインフル 8点

★初回約13時間30分。
2週目1時間30分程度。
3週目、2時間50分程度。
4週目、終盤分岐から始めて30分。
5週目、2時間弱。
6週目、終盤分岐から始めて30分。
後、エンド探しで1時間くらい試行錯誤。

※差分含まず。
差分を全部回収しないと82枚全部埋めても、96%くらいまでしか回収率が出ません。
攻略メモを元に攻略ページ作ってあります。

★事前に期待していたもの
ハードなアクションモノやSF路線を期待。大好きなので。
ぶっちゃけ、はっとさえシナリオ書かないなら、ここはメーカー買い。

システム  必要最低限度は揃ってます。
 やや不安定だった「Magistr Temple」よりも使い易くなっているとは思います。

 操作系統は、メッセージウィンドウ下に横並びされた操作パネルがメイン。
 画面上端クリックで詳細な環境設定と幾つかの操作が可能。

 右クリックは メッセージウィンドウの消去のみ。
 ホイールマウスでテキストの読み返し可能。テキスト読み進めは不可。

 メッセージウィンドウ下の文字アイコンで

 メッセージ巻き戻しと読み進め。
 スキップ。(既読・未読判別あり)。
 バックログ参照中の音声リピート。
 クイックセーブ・クイックロード(10スロット)。
 セーブ・ロード(80スロット。セーブ時の画面サムネイルに自分でコメント付加可能)。
 タイトルに戻る。
 メッセージウィンドウ消去。

 以上が使えます。
 
 画面上のメニューバーでは

 フルスクリーン・ウィンドウモード 切り替え。
 クイックセーブ・クイックロード操作。前作と同様、ここでのセーブ・ロードメニューは
メニューには残っていますが、使用不可です。
 オートモードのOn/Off。
 メッセージスキップの設定。
 選択肢でのオートセーブ(10スロット)の実行選択とオートセーブデータのロード。
 ゲームの終了。

 が操作可能。

 コンフィグでは
 各キャラクターの個別音声On/Off。
 音声・BGM・効果音のボリューム調節。(アナログバー)及びOn/Offの切り替え。
 テキストスピード調節。(9段階)
 テキストウィンドウ濃度調節(100段階)
 テキストフォント変更。

 等を設定。

 オートモード装備なのですが、クリック速度の調整が出来ないところはマイナス。
 また、どうせならメッセージウィンドウ下にオートモードのアイコンも加えて欲しかった
と思ったりします。
 スキップはかなり速いので、重宝しました。

 もうワンランク上のシステムになると、完全に文句は無いのですけど。
 今の所恒例の(?)目立ったバグは無く、快適にプレイできました。
音楽・CV  非常に好みの音楽です。
 サウンドトラックがゲームCDとは別に特典として封入されてます。
 久々に、サウンドトラックのキャラメルラップを破いたゲームになりました。
 ゲームのオマケであるサウンドモードでは22曲。音楽CDの方では19曲が聞けます。
 若干曲目が異なりますが、モロに賛美歌なホワイトゴスペルのED曲がサウンドトラ
ックに入っていなかったのが残念ですか。

 OPは1980年代のライト・メタルを意識したようなロック・インスト曲。
 ありきたりの女性ヴォーカルがこのゲームで流れていたら、相当興醒めだったと思い
ますが、この硬派なインストは良いです。
 インストナンバーが好きで、ハードロックやフュージョンサウンドが好みな私にはツボ
にハマりました。
 必要以上にハードではないし、クドいディストーションも効かせていないのは、他のB
GMにも共通です。ロックのパワーよりも美しさを指向している所は、1980年代のアメリ
カン・ハードロックを思わせます。
 クラッシック・ロックやアメリカ産業ロックの色濃いスペイシーなキーボードと、エレキギ
ターが目立ちます。
 シーンにも非常に良くマッチした選曲がされているのもマル。

 OP画面で流れる、パイプオルガンのサンプリングを使用した曲は、一昔前のRPGで、
悪の親玉が登場する時に流れるような荘厳な曲。
 確かに、大作RPGとかのBGMに使われても不思議ではない曲が多い感じです。

 ヴォイスキャスティングに関しては、このメーカーさんの良作である「僕と僕らの夏」の
メインキャラクターの声を担当されていた方が多数出演されているように思えます。
 できれば、「リリエル」の声は、あの方でアテて欲しかったり・・・・。
 全般的に、どの方も全く演技は素晴らしいし、キャラクターにも合致していますね。
 感情の入れ方とか、音響演出面もハイ・レベルだと思います。
 複数のキャラクターを担当されている声優さんも見えますが、それなりにキャラに合せ
て演技が出来ているのは流石ですね。
 後、「ルネッサンス山田」氏、は相変わらず良いお仕事をされてます。
CG・立ち絵  絵柄に関しては、それ程ドギツイ感じもせず、塗りも大人しいので、クセはないと思い
ます。私は結構好きな絵柄ですが、一般受けするかはちょっと疑問かも。
 絵でコンシューマーを惹きつけるには、ちょっと弱い気もします。

 立ち絵に関しては、ポーズはほぼ固定。
 表情に関しては大きな変化はつけてません。喜怒哀楽はしっかりと表現されている
と思いますが、バリエーションに富んでいるとは言い難いかも。
 しかし、声優さんの演技にも後押しされて、プレイ中はそれ程気になりませんでした。
 立ち絵は全般的に非常にしっかりと描かれていて、1枚絵CGよりも安定しています。
 が、一部キャラでは服装の違いとか、返り血を浴びた内容が立ち絵にしっかりと反映
されていたのですが、物語の実情にそぐわないシーンでは立ち絵が出なかったりして、
ちょっと頑張りが足りないかなとも思ったりします。

 1枚絵は、顔がアップになると、表情が少々崩れ気味になるのが気になります。
 というか、立ち絵をそのまま持ってきた方が良いような気もしたりして。
 全身CGや遠景のCGの方の表情と、視線がキャラに近いCGとの表情の差がかなり
あるように思えます。キャラクターの感情が負になっている場合、ちょっと目が三角に
描かれ過ぎている印象もあります。
 全体的に動きが感じられないタッチですね。アクションシーンとか、綺麗は綺麗に描か
れてますが、いまいちはっきりと全景が見えてこない絵が幾つか。

 それから、アクションシーンでのCGが少なかったのが残念。単に背景に血飛沫だけ
を描いて、アクションシーン共通の絵柄にしているのは、戦闘シーンが多いだけにちょ
っと物足りないです。
エロ  薄いです。
 プロローグが終わってすぐ、濃厚なCVでHが始まるのですが、この勢いは失速します。
 どのHも尺は短いし、フェラチオも殆ど無しです。
 精液表現もほぼ皆無。
 主人公が最後までヒロインとHしないルートもあったりしますし。
 特殊シーンは、ヒロインのひとりが触手に襲われるのが1つだけ。(ルートによっては
未遂に終わる場合もあり。)
 サブキャラの巨乳に何故か本番2回。
 完全脇役のヤラレ役のお姉さん達が乱交パーティで陵辱されるシーンが1つあります
が、これまた温め。

 CVだけは流石に実力のある方を起用していますので、問題ありませんが。
 個人的にはエロには期待してないし、薄くても話が面白ければ許容範囲ですから、こ
れに関して不満は有りません。
 がエロシーン目当てで買うことだけはオススメできません。
シナリオ  数千年前の大戦で一度はほぼ壊滅した世界。
 その戦争後、ゲートと言う障壁で外部から隔絶されてしまった犯罪都市。
 モラルも何もかも崩壊し、殺人は日常茶飯事な魔都。
 ここでタイプの全く違う主人公2人が、それぞれに世界の謎に関わっていくバイオレン
ス・アクション物語です。

 プロローグと、全4章からなる構成で、舞台裏の説明的なインターミッション(断章)が
ひとつ2章の後に加わってます。
 各チャプターが終了すると、次回予告とOPが流れる、ちょっとTVシリーズを意識した
構成になっていますね。

 主人公は、不死身のダークヒーロ型「ライル」。
 全く等身大な普通の少年「ノウ・クライスト」の2名。

 各々全くタイプが違う人物を用意してますが、どちらも上手に物語にハマっていると
思います。

 チャプター1が「ライル」のみ。チャプター2はほぼ「ノウ」。チャプター3も「ノウ」中心。
 選択によってチャプター4でエンディングと最後を飾る主人公が決定する流れです。
 更に、ヒロイン3名のうち、「ソフィ」と「アスト」が「ノウ」ルートに関わっており、全体の
ウェイトは「ノウ」に比重が高い感じ。
 実際にメインストーリーとなるのは、私見では「ライル」ルートですね。

 しかし、両主人公のエンディングを少なくとも1回は見ないと、全体像がはっきりしない
作りになっており、どちらもプレイさせたくなる上手い構成にしてます。

 メインの視点は、ほぼ2名の主人公で固定されますが、時折ヒロインや他のキャラに
視点が移りますし、断章では主人公2名は全く蚊帳の外。
 所謂全体を見下ろす神の視点でもストーリーが語られると、かなり入り組んだ形にな
っていますが、煩雑さはありません。
 視点が切り替わる都度、モノローグをCV入りで読ませてくれるので、視点変更には
戸惑いを覚える事は無し。この語り方は秀逸です。

 また、2名の主人公を用意して、たった4話+断章というボリュームですが、その中で
ちゃんとキャラクターを立てています。
 どちらの主人公もそれぞれ魅力があって、愛すべき主人公の資格十分。
 特に、無敵の戦闘マシーンである「ライル」が、実はかなりお人好しでイイヒトな面は
微笑ましかったり。

 物語のモチーフ、いやそれ以上になっているのが、聖書ですね。
 ぶっちゃけていうと、神と悪魔の戦い。
 舞台となる街−通称「隔離街」の元の名前が「ソドム」という点で、その手の知識のあ
る方はそれなりに理解できるかと。
 流れとしては、それぞれの主人公がヒロインを追いかけて、敵対勢力の親玉の元へ
進んでいく、というアクション映画には良くあるパターンを踏襲していますが、単なる勧善
懲悪モノではないですし、幾つか貼った伏線や撒いた謎もしっかりと消化されており、
ストーリー的には、世界背景が好みに合致すればかなり楽しめると思います。
総評  冒頭では、意識して硬めな文章を書いている感が強く、ちょっと力が入り過ぎてしま
っているなあ、とこのままこの文章を読んでいくのが苦痛になるかと思いました。
 が、直ぐに慣れてしまった・・・・というよりもライターさんの気合が沈静化したというべ
きでしょう。
 文体は後に行くに従い、柔らかめになっていくような印象があります。
 特に、キャラクター同士のやり取りはかなり軽快かつテンポが良いので、あまり地の
文章を硬くすると、アンバランスになってしまう。(冒頭ではその傾向があります。)
 1章の終わりでは、それなりに適度な硬さの文章になって、釣り合いが取れていると
考えていたりします。

 但し、ちょっとルビが多かったり、呪文や詠唱を、あるシーンではラテン語や英語で読
ませているのに、あるシーンでは日本語訳を読ませているという、統制の取れていない
部分が気にはなりましたが。

 何よりも目を惹いたのが、キャラクターの立ち方です。CVのあるキャラクターは全て
良い味を出してます。
 特に脇役が主役を喰うくらい活躍してますね。
 「ライル」のライヴァルとなる「ジューダス・ストライフ」。道化な美形キャラと言う、ベタな
設定ですが、その狂気とクールさを併せ持つセリフ廻しには痺れます。
 それから、「ストライフ」の相方的な「リリス」。クールビューティな外見と言動ですが、
実はかなり情熱家で人情家。
 素直になれないで、且つ大人の関係を保っている「ストライフ」とのやり取りがアダル
トで宜しい。
 また、出番は相対的に少ないのですが、「ライル」に好意を持つ姉御肌の「エニス」や
飄々としたエンジニアの「カーマイン」も良いカラーを出してます。
 この2人と「リル」と「ライル」を巻き込んだ喧嘩・じゃれ合い・修羅場は面白い。
 ちょっと内向的な「ノウ」よりも、「ライル」と「リル」のかみ合わない凸凹コンビっぷりが
可笑しいし、笑えます。

 また、ヒロインの3分の2は、定番とはいえ、魅力を発揮しています。
 「リル」(リリエル)は、一見清純で潔白なキャラクターに思えますし、登場からしてそん
なイメージがありましたが、実はおきゃんで口うるさ型だったので、良い意味で意表を
突かれました。
 無口無感情ヒロインの典型である「アスト」(アスタロス)も、担当声優さんの演技とシ
ナリオライターさんのコンビが見事成功し、徐々に感情を持つに至る自分への葛藤や
戸惑いが過不足無く描かれてます。

 対して、能動的ではない「ソフィ」は影が薄い。終盤でちょっとだけしか活躍しないし、
それも大したものではなかったりします。一番人気が出なさそうなヒロインですな。
 また、序盤のヤラレ役たる「蛇」の幹部や、後半のそれである敵対勢力の脇役は、全
然出番無く昇天してしまってます。まあ、所詮は踏み台キャラだから仕方ないでしょうけ
ど、ちょっとこれらの端役を退場させる手法はアッサリし過ぎなきらいがありますね。

 肝心の物語については、ネタバレを避けたいのであまり触れれませんが、少なくとも
鬱や後味の悪い終わり方はしません。
 聖書ネタを駆使して、人類の滅亡と再生、的なドラマを扱っているのですが、これで
悲劇的なエンドがまず無いのは、エンターテイメントとしては成功していると思います。

 このスタンスは賛否両論あるかもしれません。
 ライト過ぎて、彫り込みが足りないという感想を持たれる方もいるでしょう。

 全般に、どのキャラクターも“良いヤツ”なんですね。例外のヤラレ役を除いて。
 ですから、血が飛び、殺人シーンが連続しても、ゲーム世界に対して嫌悪感を覚える
事がありません。
 人物がそういった描かれ方をしているのなら、ゲーム自体も重苦しく、濃厚な方向に
特化した世界にはなり難い。
 
 しかしながら、アクションシーンでヒートアップさせ、謎やクールな敵役の思わせぶりな
セリフでクールダウンさせ、恋愛の要素も含める。
 と、あれもこれもと広く浅くにエッセンスを取り入れてますが、それが乱雑になって
焦点がぼやけてしまう事無く、ちゃんと物語として楽しめる程度に整理されています。
 先を読ませる、次が気になるという、プレイヤーの興味を惹起させる展開を見せるのに
は合格点以上の出来になっていると思います。
 痛快さやプレイ後の楽しさを求める分には、非常に宜しいかと思います。 
オススメ度  正直、体験版をプレイした段階では、徒に子難しい表現をテキストに多く使い、硬過
ぎな文体が少々不安でした。
 が、予想以上に楽しめました。
 こういったアクションモノに関しては、既にとあるメーカーさんがスタイルを築き上げて
いるので、それの亜流という批判が私にすら予想できます。
 しかし、決して劣化コピーには終わらない、パワーをこの作品とライター氏に感じまし
た。磨き上げれば、独自の方向性が創れる方だと思ってます。
 まだ、練り込みは足りませんし、文体も硬さだけに頼り勝ちな部分も有りますけど。
 個人的には、もう少し動きのあるCGやご都合主義を超えた展開がもっと欲しかった。
 と思いますが、それらを減点しても8点献上します。(1/18下方修正)
 なかなかの良作で2004年をスタートできたのも縁起が宜しそうですし。(笑)

 過度にハードボイルドやバイオレンスに期待せず、ハリウッドのアクション映画を楽し
む気分でプレイできるなら満足度は高いと思いますよ。
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