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雫 リニューアル(DVD版)

プレイ時間 DVDレス
プレイ
CG枚数 H回想 ボイス 評価
7時間程度★ 不可 55枚 8枠 フル 5点

★初回最短BADENDで30分。
2週目2時間強。(終盤セーブでBADENDとキャラクターEND回収)
3週目、同じくBADENDも回収して2時間弱。
4週目、同様にして2時間弱。
オマケシナリオ回収に30分程度。

★事前に期待していたもの
オリジナルをプレイしてそれなりにインパクトが合ったので比較を兼ねて。
追加要素はオリジナルをプレイしたのが随分前なのであまり区別はできそうもないです。
一応、オリジナルとの差がどれだけあるかを見たかったのも購入動機ではあるのですが。

システム  「Routes」と同様のシステムですね。
 ほぼ揃ってはいます。満足できるレベルでしょう。

 操作系は、画面上端のツールバーからプルダウン。
 右クリックによるメニュー呼び出し。
 オプションでOn/Off、不透明の3つに表示できる画面右端のサイドバー。
 以上の3系統から。

 右クリックはメニュー呼び出し。
 ホイールマウスにてテキスト読み進め、読み戻しの両方可能。押しっぱなしにする
事で既読メッセージのスキップもできます。

 サイドバーで、殆どのゲーム操作が可能です。
 メッセージ読み返し。(プレイ開始の地点から)
 セーブ・ロード呼び出し。(80スロット)セーブ・ロード画面には、記録した日時、画面
サムネイル、その場面のテキストが表示されて、実に便利。選択肢にてセーブ可能
なのも親切設計ですね。
 メッセージ消去。
 メッセージスキップ開始。(既読未読判定有り)
 オプション画面(右クリックの)呼び出し。

 右クリックでは、サイドバーと画面上部ツールバーでの操作と同じ設定が殆ど実行
可能になってます。
 セーブ・ロード操作。テキスト消去。オプション画面呼び出し。
 オプション画面では
 フルスクリーン・ウィンドウモード 切り替え。
 サイドバーの表示切替。(On/Off、不透明)
 音声・BGM・効果音調節(17段階)と一括On/Off機能。
 個別音声のOn/Off有り。(脇役は男性と女性だけの区別。)
 テキスト表示速度調節。(4段階) 
 画面エフェクト調節。(4段階)

 画面上端ツールバーでは、それらのコンフィギュレーションにプラスして、ホイール
マウスボタンの機能割り振り(メッセージスキップかメッセージ消去)やメッセージ送り
をするマウスボタンの割り振りが追加されてます。

 足りないのは、メッセージ読み戻し中に音声再生が不可能なくらいですが、これは
そんなに気にならなかったですね。
音楽・CV  予約購入のユーザーには旧作からアレンジされたBGMのサウンドトラックが特典と
して配布されたようですが、自分は中古購入だったので、貰えませんでした。
 オマケモードでは22曲が鑑賞できます。
 全体的に、暗く、哀しげな曲が多いのが特徴ですね。
 リアレンジに関しては、オリジナルの音楽をちゃんと記憶していないし、現在ゲーム
自体を所有していないので聞き比べができないので、比較と言う面からは何とも言え
ないです。
 当然、DVD版だけあって、音質は格段に良くなっているのは分かりますし、綺麗な
音を重ねていると思います。メインテーマも随分クリアになっていますし。
 特に、旧作のBGMに劣る点はないと思いますが。
 これを新曲として聞いた場合でも、曲自体はゲーム音楽としは中々の物でしょう。
 但し、サウンドトラックでじっくり聞きたくなるかは微妙。聞いていて心和むような曲
が少ないので。
 ボーカル曲が無いのは、やはり時代性ですね。余分にボーカルが追加されていな
かったのはマル。EDテーマにボーカルでも入るようでしたら、作品世界の雰囲気が
壊れそうな予感がしていましたから。

 「痕 リニューアル」ではCV無しだったので、漠然と今回のリニューアルも音声無し
かな、と考えてましたが、フルボイスでした。(購入時パッケージを手に取るまで知り
ませんでした。)
 完全なノベルゲームのリニューアルに音声付加はどうかな、と思いましたが、臨場
感は上がったと思ってます。
 3ヒロインではメイン格の「月島 瑠璃子」の声が最初は作り過ぎに感じましたが、
直くに違和感は無くなりました。
 但し、報われない脇役の「太田 香奈子」の声だけはちょっと微妙かも。

 対して、「新城 沙織」役の「鷹月さくら」さんは、見事にハマリ役ですね。実に素晴
らしい演技をしてくれてます。「藍原 瑞穂」も適役。
 そしてある意味、一番の主役である「月島 拓也」兄の演技も中々ですね。
 特にクライマックスの壊れっぷりは鬼気迫るものがありました。
 このゲームに関しては、CV追加はプラスに働いていますね。 
CG・立ち絵  まずは、旧作とのキャラクターデザインの変更ですが、賛否両論ありそうです。
 私的には、「瑠璃子」以外のヒロインはオリジナルよりも良くなったように感じてま
す。当然ですが、塗りは非常に綺麗になっていますし。
 少なくとも立ち絵がかなり駄目だった「痕 リニューアル」よりは違和感は無かった
ですね。まあ、絵柄は好みの問題になるでしょう。

 ノベルゲームなので、立ち絵はテキストに隠れがちですが、総じて良好です。
 ポーズのパターンや表情もゲーム時間の長さの割には豊富です。
 演出的にも、キャラクターと主人公の距離によってズームを使ったりと、視る事に気
を配っている所が感じられました。
 1枚絵CGに関しても、塗りから何まで綺麗になってます。
 構図は殆ど旧作と同じです。
 全てのエンディング(12個)を回収すると、旧版のCGが閲覧できるようになるので、
そこまで制覇すれば比較が簡単です。
 若干構図が異なっているものが有りますけどね。
 CGの少なさだけは旧作からあまり改善されなかったのは残念です。しかも完全に
新規追加CGは数枚という寂しさ。
 プレイ時間が短いので、もう少し力を入れて欲しかったですね。
 それから、主人公の顔が結構ハッキリと描かれていたのは驚きでした。旧版では
眼は描かれていなかったですからね。

 後、背景は相当気合が入ってます。これだけは絵柄の好み云々は関係ないでしょ
うから。オリジナルとは比べ物にならないくらい良質です。
 特に、舞台が夜の学校と言う事で、闇のシーンが多いのですが、夜の風景を始め、
闇の質感は非常に上手に描けていると思います。
エロ  現在のゲームのHシーンとはやはり一味違いますね。
 声が付いた事で、オリジナル版よりもかなりエロ度合いは増しています。

 基本的に和姦は少ないです。各ヒロイン1回ですが全く無いキャラクターも約1名。
 レズビアンの乱交プレイが一番回数が多いかな。
 強制的に結合を強いられたり、操られた女性キャラクターに攻められたり、暴走した
主人公に無理矢理犯されたり、と結構痛いシーンも多い。
 が、当時はかなり衝撃的でしたが、現在のエロゲー氾濫状況下では物凄くインパ
クトは無くなってしまった感が強いですね。時代を感じるなあ。
 但し、CGの彩色は全然別物ですから、現在旧版をプレイするのとでは格段に差が
出ますね。CV付きですし。

 面白いのは、濡れ場においてテキストの地の分が流れている場合でも、喘ぎ声が
BGM的に流される事ですね。どっかのメーカーのゲームと違って、同じボイスを使い
回しにはせずに、シーンに合わせて声優さんが演技してくれているようです。

 エロに関しては、原作に忠実にリメイクしています。そこそこエロいのは、オリジナ
ルのエロスが当時の水準ではかなり高かったと思って良いでしょう。
シナリオ  退屈な現実に辟易し、妄想の中で世界を破滅させる事で精神のバランスを保って
いる主人公「長瀬 祐介」。
 ある日突然、クラスメイトの「太田 香奈子」が授業中に精神異常を起こし病院送
りになる。
 「香奈子」の日記から、彼女は学校で行われていた何らかの如何わしいイベント
に参加している節があったと、学園の教師であり主人公の叔父に聞かされる。
 主人公は学生の立場から、事件の裏を取ってくれないかと言う叔父の頼みを引き
受け、「香奈子」が関連していた事件について調査を始める。
 深夜の学校で主人公は狂気の世界を垣間見る事に。

 とまあ、このゲームをプレイする人の大半はオリジナル版の経験者だと思います
けど、簡単に概略だけ書いてみました。

 基本的にダークで後味は絶対に良くない物語です。
 このメーカーさんが高い評価を得るのは、「ビジュアルノベル」の2弾目以降ですし、
まだまだ試行錯誤の頃の作品と言うイメージが強い。
 シナリオスタッフをクレジットから見ると、「校正」となっているように、基本的な流れ
は旧作と殆ど同じですね。
 というか、細かいテキストの変更はあるようですが、新規に追加された要素を自分
では区別出来ませんでした。
 オリジナル発売当時では許容範囲だった、実兄妹の禁断の関係(直接の描写は
ありませんが)が義理の兄妹に変更されているのは、まあ仕方ないでしょう。
 それ程物語に対して表面的には影響を与えるような描写はありませんので。とは
いえ、結構これは重要なファクターだとは思うんですけどね、「月島」の異常な性質
を裏付けるものとして。

 と言う感じで、まずオリジナルから大幅なシナリオ変更はありません。
 旧作をプレイした際に感じた不満点は、物語としては補完も解消もされていないの
はとても不満です。(総評に記述)
 よって、各ヒロインエンドも実に悲しく、後味が悪いものになっています。
 「沙織」エンドのみ、事件との関連性が最も薄い事も手伝って、それなりに明るい
雰囲気が有りますが、その反対に彼女のBADENDはとても居た堪れないスプラッタ
なエンディングになっています。
 一応のHAPPYENDでも「瑠璃子」を含めて救われない人々が多いのも変わらず。
 21世紀にはこういったシナリオの企画が通るか微妙かもしれませんね。
総評  まず、電波(毒電波)という超越能力がこのゲームの鍵になっていますが、この力
に対する説明があまりにも不足と言うか唐突なのは、全くフォローされず。
 旧版をプレイ時は、「電波」という概念が出てくる段階でかなり戸惑った記憶があり
ますので、これに対する説明は欲しかった。

 また、主人公ですが、空想で人類を虐殺してその残虐シーンに耽溺するような性
癖を持つ割には、言動がかなり普通っぽい。
 その空想癖が、単に他人との交わりを怖がっている事の反動という理由付けはや
はり薄っぺらいと感じました。
 作品が、ダーク系というよりも相当ナンセンスな世界を舞台にしているのに、主人
公が普通過ぎる。
 これで、序盤に少し危な過ぎる妄想を弄くり回すような記述が無ければ、普通の
学生が狂気の世界に巻き込まれる事件として、それなりに日常と非日常の非常性
が書けるとは思うんですけど。
 要するに、主人公に良い意味でのアクの強さが無い。
 この2点が全然手付かずというのが、失望の主点です。

 また、声がフルボイスで入ったのに、1プレイ時間約2時間という短さも継承。
 オリジナルだとこの半分くらいのプレイ時間でコンプリート出来た記憶があります
けど。
 当時としては普通盛りのボリュームだったかもしれませんが、流石に最近のノベル
ゲームと比較すると、ボリューム不足による物語の性急さ。加えて描写不足は否め
ません。
 徒に追加イベントやエピソードを付け加えるのが良い事とは思えませんが、特に
ヒロイン2名「瑞穂」、「沙織」についてはもっと主人公との会話や絡みが欲しかった
です。

 とはいえ、元がしっかりしたゲームではあるので、これでもそれなり以上には楽し
めるとは思いますが。

 それから、視覚面では流石に素晴らしい処理がされています。
 要所要所でムービーを使って動きを出したり、主人公の視点に合わせてズーム
が行われたりと。
 また、電波を発したり、気を失うシーンでの画面効果にはかなりの凝ったエフェクト
が使われ、「ビジュアルノベル」の名に恥じない演出がなされています。
 こちらのリニューアルに関しては満点を与えたいですね。
オススメ度  「痕 リニューアル」もほぼオリジナルに忠実でしたが、あちらは正直「雫」よりも遥
かに完成度が高くなっているゲームですから、まだ不満は感じる事が少なかった。
 しかし、かなり未完成な部分が(現在から振り返ると)多い「雫」に限れば、ちゃんと
リメイクして欲しかったのが本音です。

 シナリオ面では改善がされていない点がマイナス。その他システムやビジュアル
はプラス。この両者を加減しても5点という所ですか。

 これで8800円(実売5000円台後半)となると、旧版をプレイしてあまり好ましい感想
を持てなかった方は手を出さない方が賢明ですね。
 絵的には寧ろ退化した感じのあった「痕」よりも良くなってはいますけど、CVと絵を
差し替えたのみに近いゲームをこの値段で出すのは、ちょっと・・・・と思います。
 旧版を未プレイで、暗目のお話が好きな方なら買っても良いかもしれませんが。

 後、主観ですが作品の暗く澱んだ雰囲気には、現在の綺麗な背景や塗り、CGは
ちょっと合わないような感じを持ちました。綺麗過ぎるBGMも同じく。
 古いゲームにある独特の怪しさが無くなってしまったように感じます。
 当然、客観的に見れば、リニューアルのビジュアルの方が全然凄いのですけどね。
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