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そこに海があって

プレイ時間 DVDレス
プレイ
CG枚数 H回想 ボイス 評価 オススメ
点数
15時間強★ 159枚 13枠※ 女性フル 4点 4点

初回プレイ約6時間。
2回目以降、最長3時間、最短30分弱。
視点変更を使わずに初期キャラクタールートでプレイした場合の時間です。

※他にアニメーションやムービー、EDテロップ鑑賞が70枠。
★事前に期待していたもの
タイトルに惹かれた事。
何となく。

システム  全て揃っています。 足回り面での不満はありません。

 操作は画面上端のツールバーから呼び出しが基本。
 それ以外に、メッセージウィンドウ右のアイコンで次の操作が可能です。
 スキップ開始と終了。
 1画面以上サイズCGのスクロール。
 ボイスリピート。
 バックログ表示。
 Hアニメシーンでのシーンのリピート。
 オートモード開始と終了。
 クイックセーブ・クイックロード。
 視点変更。

 プレイ環境設定は、画面上端ツールバーから。
 フルスクリーン・ウィンドウモード切替 有り。
 メッセージスキップの既読未読判定 有り。(スキップ速度 3段階選択)
 テキストスピード 4段階調節。
 テキストフォント 20種類以上変更可能。文字幅も2段階調節可。
 音声・BGM・効果音・ムービー・システム音 5段階調節可能。
 以上の音廻りは、On/Offのみ選択可能。
 セーブ・ロード 任意の場所にて。(30スロット)
 クイックセーブ・ロードは10スロット。選択肢直前やザッピング可能直前での
オートセーブも可能。
 バックログ ホイールマウス対応。
 メッセージ読み進め ホイールマウス対応。

 この他、音声再生途中で読み進めた場合、音声をフェイドアウトさせたり、画
面の解像度を変更できたり、サウンドバッファの調整ができたり、と細かい設
定が可能となっています。
 プレイ中のストレスは全く感じませんでした。
 但し、テキスト文字がデフォルトのままでは薄くて読み難い。
 これは、テキスト文字が小さいのも原因ですが。
 それからアイコンが小さ過ぎるのもやや使い辛かった。このくらいです。 
音楽・CV  各キャラに全てエンディングテーマがボーカル付きで用意されており、OPも含め
て全部で7曲のボーカル曲が聞けます。
 これらを含め、音楽鑑賞モードで29曲がリスニング可能。う〜ん、クオリティは
高めだと思うんですが、いまいち印象に残らないですね。
 ゲームの音楽としては必要以上の力の入れ方を感じますが、どれもじっくり聞き
たいと思わせる力が無いなあ。
 OPとBGMに琉球・台湾っぽいシャントが入っているのが、独特かもしれません。
 しかれども、これが作品世界にマッチしているかというと、かなり微妙。
 特に、OPテーマとそのアニメーションは、訳が分かりません。露出が高いだけで、
製作側が意図したようなミステリアスな雰囲気は感じませんでした。
 というか寧ろ、引きますね、ナンダコリャ、って感じで。
 少なくとも、私にはOPソングもアニメーションもゲームへのポジティブな興味を
湧かせるより、引かせる事に一役買ってくれました。

 CVに関しては、女性フルで、皆さん演技に関しては全く問題ないですね。ただ、
一人で複数の登場人物のCV担当されている方が複数いらっしゃいますが、端役以
外は、やはり別キャストにして貰いたかったですな。後、意外だったのが、
「美奈萌」役の「日向 裕羅」さん。
 このキャラクターかなり後ろ向きで陰湿な性格付けされているんですが、この方
のこれまでの役柄って、明るめな前向きキャラが多かったイメージがあったので。
 当然、演技は素晴らしいですけど。見事に演じられてますね。

 問題は、主人公が1つだけ音声付のセリフがある事です。これまで全く喋らなか
ったのに、クライマックスでいきなり一言だけCV付けられると違和感物凄い。
 何故???
CG・立ち絵  まず、特徴はアニメーションですか。
 OPとエンディングを除いても、64シーンのアニメーションがあります。
(除くHシーン)
 殆ど数カットなシーンのアニメーションのみで、動きはあまりありません。
 演出上、必要かどうかはかなり疑問な部分でもあります。
 ですが、クオリティそのものは中々だと思いました。

 立ち絵は、目パチ、口パクします。
 アニメーションを取り入れている関係上、かなりアニメ塗りで、セル画っぽい立
ち絵になってます。
 ちょっと濃い絵柄ですが、それなりに一般受けはするかな。私はあんまり好き
ではないんですけど。
 表情の変化はそれなりですね。
 ただ、立ち絵よりも1枚絵CGでの笑顔があまりにも漫画的過ぎて不自然でした。

 1枚絵CGは、絵柄は非常に安定してます。
 差分も豊富で、一部アニメーションするCGもありと、かなり力が入ってます。
 枚数的にもかなり満足できる量だと思います。
 ただ、立ち絵が口パク有りなのに、フェイスアップの1枚絵CGが口パクしないのは
何となくアンバランスだとは思いましたが。

 総じて、背景、CGはレベルが高いと思います。
エロ   ルートが存在するキャラクターに付き、2シーンあります。
  (「美奈萌」のみ1シーン)
 Hシーンの大半はアニメーションで構成されており、幾つか1枚絵が入るように
なっています。
 アニメーションは最低でも2つの体位変更があり、尺は長くも無いけど短くも無し。
 これでアニメーションが無かったら大したH度ではなかったかもしれませんが、
結構な画質のアニメーションも手伝ってそれなり以上の実用性はありそうです。
 特に「理佐」と「夏海子」の年上キャラクターはかなり濃いHが展開されます。
というか「夏海子」ルートは非常にプレイ時間が短く、H濃度を上げる為だけに
存在する気がしなくもないかと。

 特殊Hは全くありません。
 特殊な精神状態という点では、「美奈萌」のHシーンはかなり凄いですが、ある
意味。
 強姦紛いでスタートするHもありますが、最終的には気持良くなって貰えるので。
 年少組みは全てフェラシーンがあります。
 卑語は精々性器描写にピー音があるくらいで、極めて普通のシチュエーション
のみですね。
 アニメーションに力を入れた分、バリエーションは乏しくなってます。
 特徴としては、殆どが巨乳キャラという所かな。一部アニメーションで、少し垂れ
乳がオーバーに描かれていて不自然過ぎる箇所もあったりしましたが。

 巨乳キャラとアニメーションがツボに入る人なら実用性はそれなり以上でしょう。
 声優さんの演技は全く問題ないですし。

 それから、殆どのキャラクターにエンディングを見るとオマケHが追加されますが、
オマケHのアニメーションは全く本編と同じ使い回しです。
 主人公の性格が鬼畜になったという仮定のようなHシーンです。
 ちょっとこれをオマケ扱いするのは酷いなあ。
 あまりにも本編と違う主人公の性格。全く新しいアニメーション無し。何の為のオ
マケなのか意図を疑います。オマケならオマケらしく、ちゃんと新しいHにしろと糾
弾したくなります。  
シナリオ  とある島にて祖父の漁師と漁業を営みつつ通学している主人公「海取 幸一」
はある夜、浜辺で全裸で倒れている美少女を見つける。
 彼女の名前も聞けない内に、分かれる羽目になったが、後日その少女「緒方
夕凪」は主人公の学校に転入してくる。
 本島から転地療養に島にやってきたお嬢様という触れ込みの、「夕凪」はあま
りにも常識を知らなく、感情の起伏にも乏しかった。
 彼女の世話を焼いていくうちに、主人公は「夕凪」に惹かれ始める。
 しかし、彼女の正体が、平和だった島に事件を・・・・。

 ボーイ・ミーツ・ガールの様式の1つ、ミステリアスな全裸少女を主人公が拾う、
という所から物語が始まります。
 で、その少女がまるでプログラミングが済んでいないロボットのように感情表現
が薄くて、しかも世間知らず。
 いかにも、な人達によって「お嬢様」扱いされ、必要以上に周囲から遮断されて
いる。こういった状況を鑑みると、序盤で「夕凪」の正体については幾つかに絞り
込めるでしょう、恐らく。
 案の定、私の予想のトップに挙げた設定がそのまま使われてました。(苦笑)

 まあ、感情を理解できなかったヒロインが、人間らしい感情「恋」に目覚めてい
く、というのがストーリーの1つの流れなんですが・・・ってこれを書くとネタバレに
なってしまいますね、大いに・・・・・。

 ですが、そういったハートフルなラブストーリーにはなりません。
 中盤までは、常識知らずな「夕凪」が送る学園生活が冗長に描かれますが、そ
の学園モノから一転して、人がバタバタ死ぬ、バイオレンスアクションに様変わり
します。この落差は大きいですね。
 前半は、正直退屈な部分が多くて、眠くなるんですが、突然日常が崩壊してい
く血飛沫ドバドバの物語に変調する展開には、初回プレイでは付いていけない
部分がありました。
 結局、「夕凪」が人間の感情を理解していく、恋愛ファーストコンタクト、が表の
シナリオで、裏シナリオが「夕凪」の正体を巡る陰謀と策謀の世界。
 この二つを、ゲームの特徴である視点変更システム−ザッピングにて表現して
いるゲームになるんですね。

 しかし、「夕凪」の正体は簡単に想像が付くし、隠されている謎自体も大して興
味を吸引できるシロモノではありません。
 ザッピングシステム採用の為、基本シナリオは1本道。これをあらゆる角度か
ら、つまり操るキャラクターによっては見えなかった事実を、プレイするたびに明
らかにしていくという進め方になります。
 この肝心のメインシナリオがあんまり面白くないのが致命的です。
 1週目以降、最初から始めると、6キャラクターの視点からプレイ開始できます
が、「夕凪」と「理佐」視点だけプレイすれば、もうおなか一杯になります。
 それ以上のプレイは正直蛇足とCG回収以外の何者でもありません。

 そして、全て鬱系エンドというのも、繰り返しプレイの気力を削ぎます。
 正直シナリオに魅力は皆無でした。
総評  このゲームの売りである、ザッピングシステム。
 私は何回か視点変更をしましたが、あまりに詰まらないので、すぐに使わなくな
りました。
 同一シーンで違うキャラの視点でプレイしても、変わるのは内心描写と地の文
が少々というだけです。これなら最初から視点固定で、プレイアブルキャラクター
の6視点で通しプレイした方が効率が良いです。
 ザッピングによって知る事のできる全く別の事件、これがザッピングシステム
の肝だと思いますが、大した事件がある訳でもありません。
 前述のように「理佐」視点だけ見てしまうと、謎らしい謎は全て解けてしまいます。

 シナリオと同様に致命的なのは、登場キャラクターに全然魅力が無い事です。
 この為に、繰り返しプレイが非常に苦痛でした。
 「夕凪」だけかろうじて「夕凪」視点でプレイしたくなる程度の希求力があります
が、他のキャラクターは、腹が立つ&ウザったい&嫌なヤツ、&オマケ扱い のみ
です。
 キャラクターの会話が全く面白くないし、定型的過ぎる。加えてキャラの誰一人
に入れ込め無いのではプレイする面白さがありません。主人公にしても、優柔不
断で鈍過ぎるので、特に肯定的な感想を持てません。

 以下、キャラの非魅力について語りましょう。

●「夕凪」
 一番しっかりと描かれているキャラだけど、シナリオの長さの割には描写が足り
ない。よって、魅力が出る前にゲーム終了となってしまう。結果、印象薄いだけ。

●「美奈萌」
 眼鏡巨乳キャラ。
 嫉妬深く独占欲が強いのに、激烈内気。結局内向性が狂気に進んでいくんで
すが、このキャラだけは、BADENDを見て、ざまあ味噌と思えるくらい嫌悪感があ
りました。
 言いたい事も言えずに、他を責めるだけのマイナス性向は見ていて痛々しい。
 今年プレイしたゲームの中で最もムカついたキャラ。

●「理佐」
 全く気分良くないキャラです。普通こういったピカレスク・ウーマンというのは、悪い
ヤツなりに魅力があるものですが、それが全くありません。本当に嫌な性格だけとい
う描き方はある意味珍しいのでは。
 個人の嫉妬の為に、大量虐殺を招いた上、とっとと昇天してしまうという具合に、最後
まで、イラン事しかしません。
 必要以上に淫乱な所はエロゲーキャラ向きだとは思いますが。

●「碧唯」
 アクティヴな所謂オトコ女キャラ。
 正直、五月蝿いだけ。活動的に見せたいんだろうけど、単なる我が侭オンナに
しか感じられないのは大失敗なキャラ立て。
 エンディングがもっとも手抜きな割には、「碧唯」視点ルートのプレイ時間が長く
て苦痛でした。感情移入度ゼロ。

●「夏海子」
 彼女視点のプレイ時間は30分以下。
 完全にH水増し。哀れ。

 ザッピングで、特に「碧唯」ルートは意味が全然ありません。蛇足そのもの。
 「美奈萌」ルートは、エンディングのみインパクトありますが、そこまで読むのが
耐えられないくらい、キャラクターに嫌悪感があります。しかも「美奈萌」視点も負けず
劣らず必要性が希薄ですし。

 結局、本柱となるシナリオが薄過ぎるので、これを幾ら視点変更で多角的に見
せたからといって、物語自体が面白くならないのです。
 そして、二兎を追うものの例えではありませんが、物語の背景にある謎と、日
常のリンクがあまりにも書き切れていません。ですので、後半の急転直下の路
線変更には乗り遅れること請け合い。
 しかも、(ネタバレに付き反転)生首ぶっ飛びのアニメ有り
 といったシーンを出してショッキングさで物語の浅さを補おうとするのは姑息で
す。
 後半にて、世界をいきなり崩壊させるのに、それを補填するだけのシナリオの
厚みがありません。
 2週目に、ああ、だからああいうイキナリな展開になったんだなあ、と納得させ
るパワーが皆無。
 鬱系エンドでも、そこに至る物語の骨組みがしっかりしていれば、説得力があ
るのですけれど、正直、シナリオを何とか終わらせる為に放り投げた結果の鬱エ
ンドとしか思えないくらい、ラストもポンと提示されるだけ。余韻がありません。

 視覚的な演出はかなり良質でした。
 キャラクターの喋る場合、フキダシをメッセージウィンドウの形にする。
 内面描写やモノローグの場合テキストウィンドウの形や色を変える、といった
具合に。
 が、力の入れ所を誤っているようにしか思えませんね。
オススメ度  ムカツくキャラクターを見たいならプレイしてください。特に自爆眼鏡巨乳は、
稀に見る嫌悪感の抱ける貴重なキャラクターです。
 売りであるザッピングシステムは、正直意味無し。普通にキャラクタールートの
プレイだけでオッケー。
 アニメーションによるエロシーンを見るだけにしては高い買い物です。
 ある意味力作なのでしょうが、退屈でキャラクターに感情移入させるモノが無け
れば何の意味もありません。
 個人的には力の入った駄作で4点。
 キャラクター地雷なゲームですが、丁寧に作ってある部分が多いので、ゲーム
自体は地雷ではないと思います。

 救いようの無いシナリオと、冗長過ぎる展開の為、お手軽度も低いので、オス
スメ度も同じく4点。
 鬱系シナリオが好きで、Hアニメが好きなら、まあ買ってみてください。
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