トップページへ戻る    感想一覧へ戻る

CLANNAD -クラナド-

プレイ時間 DVDレス
プレイ
インストール
容量
CG枚数 回想 ボイス 評価
45時間弱★ 最小10MB
最大2.25GB
64枚※ 無し 8.5点

★初回プレイ7時間30分弱。
2週目以降、最短40分から最長7時間程度。

※差分含まず

★事前に期待していたもの
良くも悪くも話題作。敢えて非18禁にした所にも興味あり。

システム  VisualArts系の汎用エンジン、REALLIVEを使用しています。
 「おしかけプリンセス」の感想で足回り面について書いてありますので、そちらを参照して
ください。(手抜きですね、スイマセン。)
 セーブ・ロードが100スロットになっている。
 クイックセーブ・ロードが無い。
 アイコン操作は、メッセージ読み返しと読み進めのみになっている。

 以上の点が異なる程度です。実に使い易い足回りですね。 
音楽・CV  余談から始めます。
 アイリッシュ・トラッドのバンドにCLANNADというグループが存在します。日本ではあまり
知名度がないですけど、映画「ラスト・オブ・モヒカン」の主題歌なんぞも歌っているバンド
です。
 私は結構好きで、2回くらいライブを見てます。(1回は英国、1回は米国。)
 どちらかというとケルト・ポップというよりもゴスペル・ポップという印象が強いバンドです
けどね。
 興味のある方は、結構ベスト盤とかが出てますので、某アマゾンとかで探してみるのも
良いかもしれません。

 『CLANNAD』とはゲール語で『家族』を意味する言葉で、実際CLANNADというバンドも
ブレンナン一家で構成されたファミリー・バンドだったりもします。
 
 そのような要らない知識があったので、事前にはケルト音楽的な曲が出て来るかな〜、
と漠然と予想していたりしました。

 実際、特典のサウンドトラックでのアレンジ・バージョンに英国トラッド的なアレンジが多く
見られました。
 バグパイプ、ウリリアン・パイプ、アイリッシュギターを使っていますね。こういうのにはとて
も弱いです。

 しかし、ゲーム本編では実にオーソドックスな、キーボードサンプリングをメインに据えた
美しい曲が多くて、先にサントラ聞いてしまって失敗でした。
 こういうアイリッシュ系のBGMで本編もやって欲しかったなあと思うのは多分私だけでし
ょうけど。
 インスト曲で41曲ですが、アレンジ違いが多いので、実質30曲強というところ。
 ヒップホップ調子の曲がかなり浮いている感じがありましたが、概ね良い曲が揃っていま
す。
 KeyのゲームはこれまでアレンジCDよりも本編の音楽の方が印象強かったんですけれ
ど、今回は個人的な好みで、付属アレンジサウンドトラックに軍配を上げます。

 ヴォーカル曲は4曲。
 これまた個人的趣味全開ですが、ゲーム本編で最も効果的に使われていた、ゴスペル
風味のバラード「Ana」(英語歌詞)が一番好きですね。
 「小さなてのひら」の使い方も巧い。
 後の2曲はちょっと印象薄い。
 全体的に良い感じでした。これまでKeyのゲームだけはサウンドトラック買ってますが、
今回も買うでしょう。

 CVは相変わらず無し。ま〜、家庭用ハードに移植される段階で絶対にキャスティングされ
るから、それまで待つしかありませんね。
 個人的にはプレイ時間が40時間を越えるゲームには声は必要ないと思うんですが。
CG・立ち絵  ゲームを重ねる毎に、立ち絵、CGともに進歩しているのが良く分かります。
 絵的にはやはり癖がありますので、駄目な人には合わないと思いますけど。

 但し、ゲームのボリュームと比較すると、差分無しで64枚の一枚絵CGというのは実に
物足りないです。差分でも全く違う絵が出る場合があるので、実質は70枚近い枚数では
ありますけど、それでも少ない。
 塗りやタッチに関しては言う事ない位綺麗なんですけどね。

 更に、立ち絵のバリエーションが少ない。少な過ぎます。
 表情自体は面白いカットが多いんですけど、感情を表すには不自然な表情が結構目立
ちました。この点は物凄く不満です。
 出番は結構あるのに、立ち絵の無いキャラクターもいたります。
 質は高くても量がこう乏しいのは頂けません。
エロ  非18禁ですから、ビジュアルとしてはキス止まり。
 しかし、実際に表示しないだけで、それなりにヒロインとの触れ合いは多いです。
 非エロに見え隠れするエロさ、という「手に入らないもの」に興奮するタイプの嗜好を持っ
ておられる方には堪らないかもしれません。

 しかし、私的にはエロ薄と批判されても18禁にして欲しかった場面が多いです。
 よりシナリオに深みを付与出来る可能性が高かった部分が、非エロにするメリットを超え
れたシナリオ展開が多いと思うので。
 もっとも、これはIFのお話ですから、実際には唐突エロシーンの挿入で終わってしまった
失敗パターンの可能性も捨て切れませんから、何とも言えませんけどね。
シナリオ  進学高等学校で、家庭の崩壊が原因となり落ちこぼれていた主人公「岡崎朋也」が、
病気で一年ダブってしまった「古河 渚」と出会った新学期直後の4月。
 「家族」というものに対して幻滅してやさぐれている主人公と彼を取り巻くキャラクター達
の物語。
 という「学園編」(便宜上)。
 メインヒロイン「古河 渚」と結ばれた前提で綴られる「アフター編」の2編に分かれてい
ます。
 前作「Air」でも使用されていたパターンですね。

 現実の学園生活の合間に間歇的に挿入される「幻想世界」と銘打たれた異世界でのエ
ピソード。
 メインヒロイン「古河 渚」学園編でのあまりにも消化不良な内容。
 以上から絶対にある程度ゲームが進むと別シナリオが出現すると確信してましたが、や
っぱり出ました。
 狙いが分かり易過ぎるというのはちょっと面白くないですね、正直な話。

 「学園編」ではヒロイン以外にも、立ち絵のあるキャラクターには全てエンディングがあり
ます。
 これが、個人的には冗長でタルかったですね。
 シナリオ構成上、
 登場キャラクターの「あるモノ」を集める=エンドを回収する
 以上の作業が必須になるんですが、シナリオに深みを持たそうとして、大して出番のな
いキャラクターの話を延々と綴られるのは、止めてもらいたかったなあ。

 ヒロインとしては「渚」、「藤林 杏」、「伊吹 風子」、「一ノ瀬 ことみ」、「坂上 智代」。
 以上5名。「宮沢 有紀寧」もシナリオ的にはヒロイン扱いでも良いでしょう。
 エピソードはこの6名だけで十分だったと思います。
 他のキャラクターのシナリオは、まあ読めますけど、それだけ。特に深い感銘とかはあり
ませんでした。シナリオの意図する意味があまりにも分かり易過ぎるのもねえ…。
 更に、物語の核から話が反れてしまい、「学園編」全体が散漫になってしまってます。

 上記のように、メインの「渚」シナリオが「アフター編」を前提にしているので、あまりにも
あっさりし過ぎで駄目。
 それ以上に、双子キャラの「藤林 杏」と「藤林 椋」のシナリオが陳腐過ぎで、このスト
ーリだけは三流以下ですね。はっきりいって全体のレベルを著しく下げている。最低。
 藤林姉妹編に関しては、一般作という所が仇になってしまい、マイナスに作用してしまっ
ています。ドロドロの展開に持ち込む事が出来ず、単にウジウジと悩む主人公とヒロイン
の物語が続くだけ。
 「杏」自体は、他のヒロインやキャラクターのエピソードに登場する回数も多いし、動きの
ある役割を振り易いので印象が強い分、セルフシナリオでのくだらなさが一層強調されて
しまった「きらい」はあるにしても、この展開は無いだろうと。

 また、キャラクターとしては面白いけれど、あまりにもファンタジー色が強くて他のシナリ
オから浮いてしまっている「伊吹 風子」編。
 ここだけいきなり「Kanon」味にされても困るんですが…。
 「幻想世界」の話をカットインする事で、ファンタジーカラーは出せているが、この部分と
「学園編」のシナリオの繋がりがあまりにも希薄な為、全体としては奇抜な言動のキャラが
織り成すスクールドラマ以上のものが「学園編」には見られません。
 この為、「風子」の存在が不自然で唐突になってしまっているのでしょう。

 「ことみ」、「智代」はしっかりしてましたね。特に「ことみ」は単独でかなり完成度が高い
シナリオだったと思います。
 「有紀寧」も同様。サブキャラ・脇シナリオにするには勿体無かったテーマだったと思い
ます。

 で、「After Story」とメニューに表示される「アフター編」。
 「渚」と主人公が家庭を築いていくお話になります。ここでやっと主人公の性格が前面に
出てくる。「学園編」では主人公の存在が玉虫色の便利野郎、という感じでどうにもはっき
りしなったんですが −単に悪ぶっているだけの半端不良としか見れない。製作側の意図
するところは違うんでしょうけど、そうとしか見れないし。− ここでやっと主人公に「顔」が
出てくる。
 いきなり「社会人になった若者の成長物語」という展開になります。
 些か「学園編」とは落差がありますが、まあ面白いんで抵抗無く読めると思います。
 問題は、相方となる「古河 渚」に思い入れが無い場合、かなり長い物語を読まされるだ
けとなってしまう危険性がある事でしょうかね。
 私はヒネクレ者なので、あまりにも「お涙頂戴」な不幸展開がやや鼻につきましたが、そ
れなりに感動出来ましたけど。
総評  まずは、各キャラクターの登場があまりにも唐突だったのが宜しくないですね。
 突然登場して、何時の間にか主人公と馴染みになってしまうキャラクターが多いです。
 インパクト自体は、各キャラクターの不可思議な言動によって、強烈に与えられますので
突然の乱入でもなし崩しにプレイヤーには受け入れられるでしょうけれど。
 主人公があまりにも自然に、初対面に近いキャラクターにアプローチしているのはかなり
違和感がありました。特に、他者とのコミュニケーションに問題を抱えている筈の主人公が
軽々しく見えるのは、あまりにも便利な展開だなあと思ったり。
 唐突に登場させ、珍妙な言動で笑わせ、後バックグラウンドの物語に触れて行く。という
展開が全キャラクター共通。
 まあ、ギャグが感性に合えば相当笑えるでしょうが、ここで合わないとプレイの継続が辛く
なる典型かもしれませんね。

 「学園編」(「幻想世界」を謎として振る) → 「アフター編」(全てを解決して大団円)
 という構成自体は実にオーソドックスですが、悪くないです。
 が、延々と「家族」ごっこ、を見せ付けられる「アフター編」にそこまでのボリュームを割り
振るのだったら、「学園編」の意味があまりにも希薄になります。
 「Air」でもそうでしたが、メインヒロイン以外は本当にオマケ扱いの存在意義しかありま
せん。
 それぞれのヒロインシナリオには、製作側の意図するメタメッセージがこめられていると
は思いますけど、「アフター編」を柱とした場合、彼女達との物語には何の意味があったの
だろうかと。

 テーマとしては、『CLANNAD』の原意である『家族』が、ゲーム全体を通じての大前提と
なっているのは明白。
 「Kanon」で少々、「Air」では完全なメインテーゼとなっていた「家族・家族愛」が今回も
ゲームの柱となっています。
 今回は、「家族」以上に「人と人との繋がり」、「人の住む場所≒街 と人の繋がり」という
より多角的な結び付きを謳っているようですけれどね。
 「変化」を恐れる気持ちと、「変化」を受け入れずして「未来という前」には進めない、てな
投げかけが出てきたりもします。
 しかし、そういった要素を表現する為に「奇跡」を持って来る手法は、かなり食傷気味です。

 「奇跡」で解決してしまった「家族ごっこ」。締めシナリオは悪く言うとこんな感じにしかなり
ませんから。

 「幻想世界」というギミックを使用し、単なる安易な「ミラクル」ではなく、より多次元的な
謎を掛けるのも、どうかと思ったり。単に難解になってしまい、語るべき部分が不足してしま
っている感じを受けました。
 この辺りの、プレイ側に投げかけられた謎に関しては、この場で考察とかするつもりはあ
りません。というか、私の乏しい解釈では万言を費やしても根本まで語れそうもありません
ので。(汗)

 最後に、男性キャラの「春原」。どつかれ役として笑える部分も多いんですが、そのセコい
悪人加減がちょっとウザったく思えるシーンが多いですね。
オススメ度  楽しめたか、楽しめなかったか?
 この点では、面白かったです。自分は最後まで続ける気力を維持できましたから。

 が、出てくるキャラクターは突飛な発言が多いし、シナリオは無駄に長い。というか無駄
な部分が多過ぎます。
 まず、序盤で主人公なり、登場するキャラクターなりの言動に不快感を覚えたら、最後ま
で継続するのは相当辛いと思います。
 最後までプレイしないと、退屈な学園モノで終わってしまう危険性が高い事が一番の問
題。
 かなり批判書いてますが、この長いプレイ時間で、ちゃんと笑わせ、感動させ、読ませる。
この3点を押さえたゲームはそうそうないでしょう。
 無駄な部分を削ぎ落として、各ヒロインのシナリオを更に良い話にしていてたら、9点献上
したんですが、そこまで絶賛するにはやや小粒だったと思います。

 泣きゲーとか感動モノが好きな方なら買って損は無いでしょう。
 反対に、ファンタジーという力技で幕引きとなる「感動ストーリー」や異次元的な阿保会話
で日常を繋ぐやり取りを主体としている展開が受け付けない人には、単なる冗長なゲーム
としかならないかと。
 万人受けする所謂感動ゲーだとは思いますが。
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送